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2026年10月21日 更新
Sakurata 068 注目特集

パスボールとは?暴投との違いや自責点・スコア記号を徹底解説

目次
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    球場のスタンドがどよめき、スコアボードに「PB」の文字が灯る――野球観戦中、捕手が投球を後ろへ逸らした瞬間に「今のプレーは投手のせいなのか、それともキャッチャーの責任なのか」と疑問を抱いた経験を持つファンは少なくありません。アナウンサーが発する「捕逸(ほいつ)」という耳慣れない専門用語や、ワイルドピッチ(暴投)との境界線は、野球経験者であっても判断に迷う場面が多々あります。

    2026年の現代野球では、投手の平均球速向上や鋭く変化するスイーパー、高速スプリットの普及に伴い、バッテリー間の捕球技術と進塁阻止の駆け引きが一層シビアさを増しています。勝敗を大きく左右するパスボールの厳密な定義から、自責点や防御率への影響、スコアブックの正しい記録方法まで、現場のプロが共有する判断基準を徹底的に解き明かします。

    📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
    • 要点1:パスボール(捕逸)とは、捕手が「普通の守備行為で捕球・処理できたはずの投球」を逸らし、走者に進塁を許した際に記録される捕手側のミスである。
    • 要点2:ワイルドピッチ(暴投)が投手の責任であるのに対し、パスボールは捕手の責任となり、それに起因する失点は投手の「自責点」にカウントされない。
    • 要点3:ボールを逸らしてもプレーは止まらず「インプレー」が継続するため、スコア上は個人失策(エラー)とは別枠の「PB」として厳格に記録される。

    【基礎知識】パスボール(捕逸)の意味と公認野球規則における定義

    パス ボール と はの関連写真・ビジュアル
    【画像】パス ボール と は 関連ショット

    パスボールは、日本語の野球公用規則において「捕逸(ほいつ)」と表記されます。文字通り「捕手がボールを受け逸らす」ことを意味しますが、投球を後ろに逸らしたすべてのケースで記録されるわけではありません。

    公認野球規則9.13(b)の規定によると、パスボールが記録されるには以下の厳格な条件を満たす必要があります。

    「捕手が、普通の守備行為によって捕球するか、または処理できたと思われる投球を保持し損じるか、あるいは止め損じたために走者を進塁させた場合、捕手に捕逸を記録する。」

    ここで極めて重要なのが、「走者が進塁したかどうか」という点です。たとえバックネットまでボールが転がる大逸捕であったとしても、走者がおらず打者も進塁を試みない状況であれば、公式記録員がパスボールを付けることはありません。あくまで「捕手のミスによって相手走者(または打者走者)に進塁のアドバンテージを与えてしまった」場合に初めて適用されるペナルティ的記録なのです。

    【徹底比較】パスボールとワイルドピッチ(暴投)の決定的な違い

    パス ボール と はの様子・注目ショット
    【写真】パス ボール と は 近影・注目カット

    野球を観戦するうえで最も混同されやすいのが、パスボールとワイルドピッチ(暴投)の違いです。両者の本質的な差異は、「そのミスが投手と捕手のどちらに帰属するか」という責任の所在に集約されます。

    項目パスボール(捕逸)ワイルドピッチ(暴投)編集部の見解・判断基準
    責任の所在捕手(キャッチャー)投手(ピッチャー)通常の捕球動作で処理可能だったかが分岐点
    投球の軌道と状態ミットが届く範囲、通常の構えで止められるコースホームベース手前で跳ねるワンバウンド、大きく外れる悪球ワンバウンド球を止められなかった場合は原則暴投
    投手の自責点への影響自責点にならない(非自責)自責点になる捕手のミスによる失点で投手の防御率は悪化しない
    スコアブック記号PB(Passed Ball)WP(Wild Pitch)進塁線の上にそれぞれの略称を記入
    個人成績の失策(エラー)エラー数には加算されない(独立項目)エラー数には加算されない(独立項目)守備率(守備機会)の計算式からは除外される

    判定の基準において、NPBやMLBの公式記録員が最も注視するのは「普通の労力(Ordinary Effort)で捕球・ブロッキングできたか」という点です。例えば、ホームプレート手前で大きくバウンドしたショートバウンドを止められなかった場合は、たとえ捕手の正面であっても投手の「ワイルドピッチ」と判定されるのが通例です。一方、ストライクゾーン付近のストレートや、捕手が構えた位置からわずかに外れた程度のボールをミットで弾いた場合は「パスボール」と宣告されます。

    投手への影響は?失点・自責点・防御率の計算ルールを徹底検証

    パス ボール と はの報道・詳細資料
    【資料】パス ボール と は 報道・メディア記録

    記録上の大きな焦点となるのが、投手の個人成績である「自責点(ER: Earned Run)」と「防御率(ERA)」への影響です。野球の公式記録ルールにおいて、パスボールによって生じた失点は投手の自責点から除外されるという原則が存在します。

    具体的なシチュエーションで見てみましょう。

    • ケースA(走者三塁):投手がストライクゾーンに投げた球を捕手がパスボールし、三塁走者が生還。その後、後続打者が三振に倒れてチェンジとなった場合。チームのスコア上は「1失点」が記録されますが、投手の個人成績は「自責点0」となります。
    • ケースB(2死走者なしからの振り逃げ):2死から第3ストライクの投球を捕手が後逸(パスボール)。打者が振り逃げで一塁に出塁し、直後に次打者が本塁打を放った場合。この2失点は、パスボールがなければ本来イニングが終了していた(3アウトチェンジ)とみなされるため、2点とも投手の自責点にはならず、防御率も一切悪化しません。

    このように、記録員は「もしそのミス(守備のエラーやパスボール)が起きずに通常の守備が行われていたらどうなっていたか」という架空のイニング再構成を行い、投手に責任がある失点かどうかを厳密に切り分けています。

    【実態検証】元プロ捕手の証言と「捕逸」を巡るバッテリー心理

    数字上の記録とは裏腹に、グラウンド上でマスクを被る捕手にとって、パスボールは精神的ダメージの極めて大きいプレーです。歴代の名捕手たちが自著やインタビューで語る「捕逸のリアル」からは、テレビ中継では映し出されないバッテリー間の葛藤が浮かび上がります。

    長年プロの第一線で活躍した名捕手・谷繁元信氏や古田敦也氏らは、解説の中で「サイン違い」や「投手の球質のブレ」について度々言及しています。捕手がスライダーを待っているところに150km/hを超えるインハイのストレートが投げ込まれた場合、人間の反射神経の限界を超えて身体が硬直してしまいます。しかし、そうしたサインの食い違いであっても、投球自体が捕手のミットの届く範囲であれば、公式記録上は無情にも捕手の「パスボール」として処理されるのが鉄則です。

    SNSやネット掲示板の実況スレッドでも、「今のは逆球だから捕手は捕れない、ピッチャーが悪い」「いや、ミットに当てているのだからパスボールだ」とファンの間で意見が二分する光景が日常茶飯事となっています。記録員室では、投手の投球動作、捕手の構え、変化球の曲がり幅、バウンドの跳ね方を瞬時にスロー映像で確認しながら、数十秒以内にWPかPBかを下しています。

    一般に知られていない盲点とネットの誤解

    パスボールに関して、ファンの間で長年誤解されがちなルール上の盲点が3つ存在します。これらを正しく理解しておくことで、試合展開の解像度が格段に上がります。

    誤解1:パスボールは個人成績の「失策(エラー)」にカウントされる?

    「パスボール=キャッチャーのエラー」と認識されがちですが、公認野球規則上、パスボールは失策数(E)にはカウントされません。内野手や外野手のファンブル・悪送球とは異なり、投球処理のミスは「暴投」「捕逸」という独立したカテゴリーとして扱われます。そのため、パスボールを犯しても捕手の守備率は低下しません。

    誤解2:ボールを逸らしたら「ボールデッド」になってプレーが止まる?

    捕手が後方へボールを逸らした瞬間、球審がタイムをかけて試合が中断すると勘違いしているケースが見られますが、これは完全な誤りです。パスボール発生時も審判はタイムをかけず、試合は「インプレー(生きた状態)」のまま継続します。ボールがバックネットフェンスの隙間に挟まるなど物理的に捕球不能な状態にならない限り、走者はどこまでも進塁を狙えますし、捕手は即座にボールを拾って送球し、アウトを奪う義務があります。

    誤解3:振り逃げ時のミスはすべてパスボールになる?

    打者が2ストライクから空振り(または見逃し)した投球を捕手が捕球できず、打者走者が一塁へ走る「振り逃げ」の場面でも、暴投と捕逸の判定基準は適用されます。捕球可能な球をミットから落として一塁進塁を許した場合は「第3ストライクのパスボール」、ワンバウンド球を振らせて逸らした場合は「第3ストライクのワイルドピッチ」となります。どちらの場合も、投手に「三振」の記録は付いた上で進塁が認められるという特殊なルール構造になっています。

    【プロの結論】おすすめの観戦視点と判断の見極め基準

    球場やテレビでバッテリーエラーを目撃した際は、以下のステップで観察するとプレーの本質が明確に見えてきます。

    • 投球軌道の確認:ホームプレート手前で土を巻き上げてバウンドしたか?(→ ワンバウンドなら原則ワイルドピッチ)
    • 捕手のミット位置:構えた場所から大きく外れて逆球になっていないか?(→ 構えと逆でも、捕球可能なゾーンならパスボール)
    • 試合展開への影響:後続打者が打ち取られた場合、その失点が投手の自責点から引かれているか?(→ ボックススコアで「自責点(ER)」の欄を確認)

    スコアブックの正しい記録方法|記号「PB」の書き方と実例

    高校野球のマネージャーや草野球の記録係、スコアブックを自ら付ける熱心なファンにとって、パスボールの正確な記入法をマスターしておくことは必須スキルです。

    パスボールによる進塁が発生した際、スコアブック(早稲田式・慶応式共通)では当該走者のマスの進塁線の上に「PB」と英字で記入します。

    • 走者が一塁から二塁へ進塁した場合:一塁から二塁へ向かう斜線(または曲線)の上に「PB」と記載します。
    • 三塁走者が生還した場合:三塁から本塁への生還ラインに「PB」と記し、得点記号を付けます。この際、投手の自責点集計欄(ER)にはチェックを入れず、非自責の失点として扱います。
    • 振り逃げで打者が出塁した場合:打者枠の中央に三振を示す「K」を記入し、一塁への出塁を示す線の上に「PB」と書き添えます(三振奪取と捕逸出塁の複合記録)。

    【パスボール(捕逸)】に関するよくある質問(FAQ)

    Q1:パスボールで失点したのに、なぜ投手の自責点にならないのですか?
    A1:自責点(Earned Run)は「投手の責任において相手に与えた得点」を算出する指標です。捕手が通常の守備行為を行っていれば防げた進塁・失点であるため、投手の責任範囲外とみなされ、防御率悪化を防ぐために自責点から除外されます。

    Q2:ランナーがいない場面でキャッチャーがボールを後ろにそらしたらパスボールになりますか?
    A2:記録されません。公認野球規則上、パスボールは「走者が進塁した場合」または「2ストライクからの第3ストライク捕球失敗によって打者走者が一塁へ進塁した場合(振り逃げ)」にのみ記録されるため、走者の進塁を伴わない後逸は公式記録に一切残りません。

    Q3:投手が捕手のサインと違うボールを投げて捕手が後逸した場合はどうなりますか?
    A3:現場レベルでは投手のサインミスであっても、公式記録員の判定は「そのボールが通常の守備動作で捕球できる範囲であったかどうか」のみで客観的に下されます。ミットの届く範囲の投球であれば、内情がサインミスであっても記録上は捕手のパスボールとなります。

    Q4:パスボールで走者が進塁したとき、盗塁(スチール)は記録されますか?
    A4:投球が捕手のミットからこぼれる前に走者がスタートを切っていた場合(ディレードスチール等を含む単独スタート)は、走者のスタートが主たる要因とみなされて「盗塁」が記録されます。投球が逸れたのを見てからスタートを切った場合は、盗塁ではなく「パスボールによる進塁」となります。

    まとめ:パスボールのルールを知れば野球観戦が何倍も面白くなる

    一瞬の捕球ミスに見えるパスボールですが、その背景には公認野球規則の緻密な論理体系と、投手の成績を守るための厳格な自責点区分が存在します。ワイルドピッチとの違いやエラーとの境界線を正しく理解することで、グラウンド上のプレーのみならず、スコアボードの数字や試合後の公式記録、セイバーメトリクス指標に至るまで、より深い視点で野球の奥深さを堪能できるようになります。

    次に球場でバッテリーの捕球シーンを目にした際は、ぜひ投球の軌道と記録員の判定、そして自責点への影響に注目してみてください。研ぎ澄まされたワンプレーの裏側にあるドラマが、より鮮明に見えてくるはずです。 (出典: パス ボール と は(Yahoo!ニュース))

    伊藤 美咲 (Misaki Ito)
    伊藤 美咲 (Misaki Ito) エンタメコラムニスト

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